柴犬や日本犬の本を調べてみると、犬の介護について記載されている本が、意外にも少ないことに気づきます。
しかし、犬を飼っている以上、介護の知識は絶対に持っておくべきだと思います。
まめ家では、柴犬「空まめ」の2年におよぶ「寝たきり介護」を経験しました。
その時のことをまとめてみます。
柴犬「空まめ」の老後
柴犬「空まめ」は、てんかんという病気を持っていましたし、歳をとって「白内障」や「歯瘻」(歯根膿瘍)も経験しています。
「歯瘻」については、別記事で取り扱います。
まず、てんかんは失禁を伴うものになっていきましたので、常時オムツが必要になりました。
その後、柴犬「空まめ」は2019年6月(当時14歳)の時、てんかんの重積状態となり、下半身マヒになりました。
寝たきり介護が必要になったのです。
それだけでなく、脳梗塞による障害も重なっていきました。
自分では食事もできず、水も飲めませんでしたので、つきっきりの看護が必要でした。
「空まめ」の介護は2年におよびました。
病気からの回復期の介護と通常介護との違い
空まめの場合は、てんかんにより突然に介護が必要になりました。
区別しておきたいのは、てんかん回復期の介護と、通常の老化による介護です。
空まめは下半身マヒが先行しましたので、通常介護といっても通常ではない部分もあります。
概ね「介護」は食事・水やり、排尿等の生理現象の処理、寝たきり状態の世話が必要です。
しかし、病気からの回復期の介護と老後の介護は食事が異なりますので、区別しておきます。
このページでは老後の通常介護をまとめていきます。
病気からの回復期介護については以下のページをご参照ください。
介護の前に準備しておきたいもの
まず、寝たきり介護の前、シニア犬をもつ飼い主さんが必要なものは、オムツとペットシーツだと思います。
まめ家の場合、オムツはユニチャームのものと、P.oneのものを使用しました。
以下の記事を参照してください。(けっこう楽しんでますね)
ペットシーツは何に使うにしても便利です。
犬の飼育をはじめたら、用意しましょう。大きくて厚型のものがいいです。
まめ家では「アイリスオーヤマ ペットシーツ 超厚型 お徳用 ワイド」を使っています。
空まめが寝たきりになって、ペットシーツは必需品になりました。
ペットシーツの便利な使い方は、このページの「排泄」セクションで紹介します。
食事
介護の食事は流動食になります。
まめ家では普通のドッグフードをハンドブレンダーで砕いて流動食を作りました。
問題はドッグフードは何を選ぶかです。
排便の硬さを観察しながら、ドッグフードを選ばなければなりません。
柔らかすぎると肌がかぶれることがあります。
下痢は介護の大敵です。
「空まめ」の場合、ちょうど良い硬さになったのは「ヒルズのサイエンスダイエット/13歳以上用シニアアドバンスド 高齢犬用」でした。
フードは犬にもよるので適切な硬さになるものを試行錯誤しながら選んでください。
流動食を与えるために準備するもの
流動食を与えるために必要なものを以下にまとめておきます。
ドッグフード
先にも述べたようにドッグフードは犬にあわせて選んでください。
「空まめ」に適していたのは高齢犬用の「サイエンスダイエット」でした。
ハンドブレンダー
ふやかしたドッグフードをすりつぶすのにハンドブレンダーを使用します。
最初はすり鉢を使ってすりつぶしていましたが、大変ですので、離乳食対応ハンドブレンダーの購入をおすすめします。
流動食注入器
流動食を与えるために注入器を使用します。
空まめの2年の介護生活で5、6個ほど利用したと思います。(空まめが注入先を噛んでしまってダメになります)
他のものも試してみましたが、結局「ワンラック」に落ち着きました。
もう少し大きなものが欲しかったのですが、いいものがありませんでした。
シリンジ先のゴムは直ぐにダメになります。ゴムは絶対に必要というものでもありません。
流動食の作り方
流動食を作る手順は以下。
固形ドッグフードをタッパーに入れて水でふやかします。
前日の夜に用意して冷蔵庫に入れておけば次の朝には柔らかくなっています。
ハンドブレンダーですりつぶします。
一回の食事で与える量に分けておくと便利です。
以下のページを参照してください。動画もあります。
口腔ケア
流動食を与えるようになると、食べ物が口腔内に残りやすくなり、唇が腫れたりします。
この症状は、できるだけ口腔を清潔にするようにして防ぎます。
そのためには、食事のあと、必ず口の中を洗ってあげましょう。
必要なのは給水用のシリンジ(針のついていない注射器)です。
水を飲ませるだけでなく、口についた食べ物を洗い流すのに便利です。
給水用シリンジ
給水用シリンジは絶対必要です。
流動食を与える場合、口腔を清潔に保つのが難しく、口腔ケアが必須です。
水を与えるだけでなく、口腔をシリンジで洗ってあげましょう。
まめ家では行きつけの獣医師さんにシリンジをいただきました。実はご厚意です。通常は有料なのかもしれません。
以下のような商品でもよいでしょう。
寝床
寝たきりになると床ずれがおきやすくなります。
寝かせる布団やマットに気をつけましょう。
以下、参考文献からの抜粋です。
「寝たきりになったら」
体圧分散マットに寝かせる
床ずれを防ぐためには、体圧分散マットに寝かせるのが効果的。頬の下などにあてる専用のクッションがあります。
数時間ごとに寝返りをうたせる
床ずれを防ぐために、2〜3時間おきに体の向きを変えたほうがよいとされています。その際、抱きかかえて上半身を一度起こすだけでも血行がよくなります。
排泄物はトイレシーツで受け止める
おしりの下にトイレシーツを敷き排泄物を受け止めます。おしりまわりがどうしても汚れるので、水を使わないシャンプーをしたりして清潔を保ちましょう。
床ずれが起きやすい部分
ほお、肩、ひじ、腰、ひざ、かかと
出典:『はじめよう! 柴犬ぐらし』株式会社西東社、2020年。ISBN978-44-7916-2848-3。
「空まめ」の場合は、布団と毛布、ペットシーツを使っています。
しかし、熱がこもりやすくなるので、注意が必要です。
夏はエアコンや扇風機で対応しましょう。
寝たきりになったら必要なもの
寝たきりになったら必要なアイテムをまとめておきます。
マット
前述したようにまめ家では布団や毛布を使いましたが、室温等に注意が必要です。
『はじめよう! 柴犬ぐらし』に「体圧分散マット」と書かれていたので、探してみると以下のような商品がありました。
ペットシーツ
寝たきりになるとオムツをしていても、もれてしまったりすることが多くなります。
必ず、ペットシーツを敷いておきましょう。
排泄
寝たきりの犬の介護で最も大変なのが排泄の処理です。
ほうっておくと漏れてしまうので、飼い主さんの大きな負担になる場合があります。
頻繁に排泄のチェックを行うのがベストですが、そうすると犬の介護に忙殺されます。
排泄物のもれをいかに少なくし、排泄物の処理間隔をいかに長くするかということを考える必要があります。
そこで、まめ家では新生児や赤ちゃん用のオムツ(人間用)を使うことにしました。
しかも、2つ使用します。
赤ちゃん用のオムツを使うことで節約にもなります。(人のものの方が安売りが多い)
また、あわせてペットシーツを使えば、排泄物のもれの不安から、かなり解消されることになります。
ただし、オムツ替えの際は、きちんと水洗いし、不潔にならないよう注意しましょう。
オムツ替えの回数も「清潔にできる範囲で減らす」ということに気を付けてください。
排泄のために使うもの
以下にオムツ等、まめ家が使用したものをまとめます。
(下の図は、当時まめ家が使用していたおむつの作り方メモです)
ユニ・チャーム ムーニーエアフィット テープ 新生児用
前述したように、赤ちゃん用のオムツを2つ使います。
一つ目は新生児用のテープ型です。
これは犬のおなかに巻くように使い、主におしっこを吸収させます。
新生児用のオムツは吸水性に優れているので、犬用のものより安心です。
この新生児用のオムツはテープがありますが、それを外側におり、犬用のマナーウェアなどで、おなかに巻きます。
布製のマナーベルトを使ってもいいと思います。
まめ家でもマナーウェアが使い捨てで割高感があったので、介護の後期には布製の犬用マナーベルトを使っていました。
パンパース さらさらケア L テープ
ムーニーエアフィットの上に大きめのテープ型パンパースをはかせます。
これは主に便のもれを防止します。
ただし、人間の赤ちゃん用のオムツですので、尻尾の穴がありません。
尻尾用の穴ははさみで切り取って開けてから使います。
ペットシーツの便利な使い方
さらに、排泄物の漏れをなくすのに、役だったのがペットシーツです。
2つの赤ちゃん用のオムツと、このペットシーツのおかげで、ほとんど漏れがなくなりました。
飼い主さんの都合に合わせて排泄物の処理ができるようになります。
まめ家ではペットシーツをスカートのように巻いて、ガムテープでしっかり止めて使いました。
就寝時の排泄が多く心配な場合や動物病院に連れて行くなどの移動時に便利です。
ペットシーツを巻くだけだとズレやすいので、サスペンダーで止めておきます。
右下の金属部分がサスペンダーです。
オムツずれの防止にも役立ちます。ちょっとしたオシャレにもなります。
ふきとりフォーム
緊急時には除菌拭き取りフォームも便利です。
散歩
「空まめ」を家の中だけで寝させておくのがかわいそうだったので、赤ちゃんの抱っこひものような商品も買ってみました。
四つ足を出す穴があります。
しかし、これは大失敗でした。
柴犬は重すぎました。
ペットシーツをスカート巻きして抱いてやった方が楽です。
まとめ
以上、まめ家での介護方法やアイテムを紹介しました。
特に排泄のところで紹介した、人の赤ちゃん用のオムツの使い方、ペットシートの使い方を参考にして欲しいと思います。
犬用商品より人の商品の方が安売りが多いと思いますので、節約にもなります。
このページが、最後まで愛犬といっしょに暮らすために、少しでも役立つ情報であることをいのります。
©まめ家
参考文献
- 『まるごと柴犬BOOK』株式会社永岡書店 、2003年。ISBN4-522-42107-9。
- 『柴犬の気持ちと飼い方が分かる本』主婦の友社、2018年。ISBN978-4-07-431792-9。
- 『はじめよう! 柴犬ぐらし』株式会社西東社、2020年。ISBN978-44-7916-2848-3。
- 影山直美『柴犬のトリセツ』株式会社西東社、2021年。ISBN978-4-7916-3001-1。
- 卯木照邦『初心者から始める日本犬の教科書:その魅力を引き出す飼い方からブリーディングまで』22世紀アート、2023年。ISBN978-4-86785-055-8。
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